WAKOUWA(ワクワ)は2008年にアナトミカのスポーツレーベルとして展開を始めた、デッキシューズを中心としたスニーカーブランドです。もともとWAKOUWA(ワクワ)はスイスの玩具ブランドです。なぜ玩具のブランドが、スニーカーのブランドになったのか。そこには犬にまつわるストーリーがありました。
WAKOUWA(ワクワ)は、犬や猫などの動物を模した木製玩具を製造販売したスイスのメーカーとして始まります。1950年代、アナトミカのピエール氏が幼少の頃にパリの百貨店ル・ボン・マルシェのクリスマスディスプレイでWAKOUWA(ワクワ)を見かけます。その時は手に入れる事ができず、成人した後、蚤の市でWAKOUWA(ワクワ)の玩具を見つけては購入していましたが、好きな思いが功じて、すでに使用されていなかったWAKOUWAブランドを商標登録し、自身のブランドとしました。
その後、アナトミカで最高の履き心地をもつスニーカーを作ろうという企画が始まります。その頃アナトミカ初のデニムを企画、生産をするパートナーともなった35SUMMERSの寺本氏と一緒に、滑りにくいソールとキャンバス地のスニーカーの開発に乗り出しました。このスニーカーの発祥の地は、アメリカのコネチカット州であり、ポール・スペリーという名の船長が飼い犬の肉球にヒントを得て開発したアウトソールを使ったモデルを制作したのが始まりで、スペリー氏は水に濡れたヨットのデッキで飼い犬だけが足を滑らせなかったのに着目しました。犬が肉球を広げた際にできるすき間がグリップの役目を果たしていました。こうして生まれたノンスリップソールを継承し、前述のWAKOUWA(ワクワ)の犬を模した玩具と、スペリー氏の愛犬のストーリーが融合し、WAKOUWA(ワクワ)という名前を冠し、メインキャラクターとしてヒールパッチのロゴベースに描かれています。
こうして誕生したWAKOUWA(ワクワ)では、オリジナルのラスト(木型)を開発し、12回ものサンプル製作を経て完成しました。この木型の特性は、オーソペディックシューズ(医療用矯正靴)特有の「アシンメトリックなインサイドストレート・アウトカーブ」な形状をしており、
土踏まずで足のホールドをし、トウの部分には捨て寸をもたせています。こうすることで靴自体は土踏まずの部分で固定され、指先の捨て寸により、ストレスフリーな履き心地が生まれます。また、いまでは量産が少なくなったヴァルカナイズド製法を採用し、スニーカーのキャンバス地のアッパーとゴムのソールを縫い合わせるのではなく、圧着させることでより素足に近い柔らかな履き心地を実現しています。
近年では、イッセイミヤケとのコラボレーションも行い、アナトミカのスニーカーブランドとして、さらなる飛躍を遂げる事となりました。